さて、本日は「その男、凶暴につき
監督   北野武
出演   ビートたけし、白竜、川上麻衣子岸辺一徳佐野史郎 ほか

早い話、暴力映画だ。元々は深作欣二監督となるところだったが、
不具合か何かで、急遽ビートたけし氏が撮る事になった作品。
初監督とは思えないほどの技巧的カットが飛び出した傑作である。
本人曰く…
「本物の暴力の怖さっていうのは、拳銃ぶっ放してドンパチすることじゃない。
テーブルの上の食器を投げ合うような、日常的に内在するところにあるはずなんだ」
と、あるように、この映画には派手なアクションは無い。
そのかわりに、やけにリアルな緊張感が終始漂う。今、動いたら殺される…とか。
何で、今殴られた??っていう、リアルな不条理、リアルな緊迫。
無言のシーンが多数あったり、セリフがボソボソと小声であったり、
映画とは思えない、かなりノンフィクションに近い人物たちの会話や“間”が、
リアルを巧妙に表現している。

ストーリー
暴力沙汰の絶えない刑事・我妻は、一匹狼で、署内でも浮いた存在。
彼の理解者は上司の岩城だけだった。
ある日、管轄内でヤクのブローカーの死体が。その事件を紐解くうちに、
実業家・仁藤とその手下・清弘、そしてヤクを横流ししている岩城の名前があがる。
暴力まみれで捜査して行く我妻。岩城は殺され、妹は清弘の手に。
さらに捜査態度が問題視され、我妻は警察職を追われてしまう。
しかし彼は行きつけの喫茶店でチャカを買い、仁藤・清弘を殺しに走る。

見所は、やはり全体の“間”とリアリティ、北野武のブラックユーモア。
そして今作がデビューとなった、若き日の寺島進(清弘の手下役)だろう。



その男、凶暴につき [DVD]

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